ワイジェイカード(旧国内信販・楽天KC、KCカード)から支払督促を起こされたが、時効援用の主張で終了した件
今年に入り、最終取引から5年以上経過した債権について請求や訴訟を起こされた、との相談が非常に多くなっており、当ブログや解決事例にもいくつか掲載しておりますが、今回は「ワイジェイカード」から支払督促を起こされたケースの相談を受けました。
ワイジェイカードとは以前、国内信販、楽天KC、KCカードといっていた会社で、今年に入り会社分割でヤフーの傘下に入った会社です。
依頼者はちょうど9年前となる2006年8月まで取引を行っていましたが、訳合ってその後の返済等を全く行っておりませんでした。そうした所、ワイジェイカードが現住所を探して、今年6月に佐世保簡易裁判所に支払督促を提起してきた、との相談でした。
(ちょっと待て、その督促異議は命取り!)
当職は簡易裁判所での代理権を持っておりますので、依頼者の代理人としてこの訴訟に対応することにいたしました。しかし、依頼者は当事務所に来る直前に裁判所に督促異議を出しておりました。
「支払督促」は受け取った相手方が何もしなければ、そのまま支払を命じる手続きが確定します。一方、「督促異議」を出すと裁判に移行されます。この督促異議の様式書類は裁判所から一緒に送ってまいりますが、あらかじめ印刷された書式に「分割払いの話し合いを希望します」という項目があります。依頼者はその時、そこにチェックを入れて裁判所に出してから、当事務所にその足で相談に来たものです。
当職としては、依頼者の記憶・証言や、原告からの支払督促書面や証拠などを詳細に検討しました。その結果、そもそも最終の取引(弁済)から5年を経過し消滅時効にかかっていると判断しました。
しかし、「督促異議」の内容では「分割払いの話し合いを希望します」つまり「債権の存在を認める」という内容になり、時効の主張ができなくなる恐れがありました。
そのため、即座に裁判所に連絡し、督促異議の内容を「後日主張」に変更してもらい、合わせて受任通知と時効消滅の主張をワイジェイカードに送付しました。そうしましたら、ワイジェイカードからはすぐさま、訴えの取下書が届きました。
この件でもそうですが、簡易裁判所で訴訟・支払督促を起こされた場合、「答弁書」「督促異議」のテンプレ用紙が裁判所から送られてくる場合があります。この用紙には、「私の言い分」の項目がありますが、「次の通りです(以下記入欄)」「話し合いによる解決(和解)を希望します。分割払い、その他の案」との2項目のみ書かれており、消滅時効主張の項目はありません。
もし今回のように「分割払いでも払う」と記入して返送したり、「訴訟を無視して何も対応しない」場合は、裁判所はこの債権を認める判決や決定を出すことになります。その場合は、時効はそこから10年間ということになり、その間は預金口座や給料、場合によっては不動産の差押を受ける可能性が出てまいります。
そのようなことがありますので、とにかく債権回収会社や貸金業者、場合によっては弁護士などから請求がありましたら、業者に連絡したりする前に、まずは当事務所にご相談ください。特に裁判所から通知文書が届いた場合は、裁判所に連絡する前に至急ご相談ください。
もちろん相談だけの場合は無料です。
実際に、時効の主張をするだけで終わったはずのものが、数十万円払った、という例が今年に入って当事務所だけで数件聞きました。この場合も、損害金がついて請求額は20万円を超えておりました。
お早目のご相談が、あなたを守ることになります。佐世保・佐々・平戸・松浦・西海など長崎県内で債務整理のご相談がございましたら、お気軽にご連絡ください。お待ちしております。
2015.8.13 深江司法書士事務所(佐世保・深江司法書士事務所) 司法書士 深江政弘