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アビリオ債権回収から時効債権の請求訴訟を起こされた件について

 前回、前々回と当ブログで「貸金業者などから時効にかかっている債権の取り立てが最近多い件」について、注意喚起込みで掲載しましたが、今度は遂に訴訟が起こされた件で相談を受けました。その件について今日は記載します。

 依頼者は20年以上前に住宅ローンを滞納し、詳細は書きませんが、住宅を売却して返済に充てていました。

 一昔以上前、「住専問題」というのが世間を大きく騒がせたことを覚えておられますでしょうか。依頼者がその時に借りていたのも、その住宅専門ローン会社のうち1社からでした。

依頼者が住宅を売却しても完済できなかった住宅ローンの残金を、その業者から整理回収機構などを経て債権を譲り受けた、として、アビリオ債権回収株式会社が原告(つまり訴えてきた会社)として譲受債権請求訴訟を起こしてきたものです。

この訴訟には、以下の特徴がありました。

1.残ったと主張する債務は約180万円にかかわらず、請求額は140万円。
2.これを東京簡易裁判所で提訴。

全額を請求しなかったのは、「180万円全額だと地方裁判所管轄となり、会社代表者か弁護士が必要となるので、140万円に絞ることで簡易裁判所管轄にして、担当者レベルで訴訟を進行できるようにした」と思われます。

また、依頼者の地元で無く東京で提訴することで、費用がかかる、と思い反論などをあきらめる方もおられるのではないか、と思います。

当然、当職は簡易裁判所での代理権を持っておりますので、依頼者の代理人としてこの訴訟に対応することにいたしました。

当職としては、当時の住宅の登記簿、及び依頼者の記憶・証言や手持ち資料、原告からの訴状や証拠などを詳細に検討しました。

その結果、訴訟を東京で無く依頼者の地元に移送するよう申立も考えましたが、そもそも最終の取引(弁済)から少なくとも10年を経過し消滅時効にかかっていると判断し、答弁書で時効援用(時効消滅したことを主張)しました。

そうしましたら、アビリオ債権回収からはすぐさま、訴えの取下書が届きました。

この件でもそうですが、簡易裁判所で訴訟を起こされた場合、「答弁書」のテンプレ用紙が裁判所から送られてくる場合があります。この用紙には、「私の言い分」の項目がありますが、「次の通りです(以下記入欄)」「話し合いによる解決(和解)を希望します。分割払い、その他の案」との2項目のみ書かれており、消滅時効の項目はありません。

もし「分割払いでも払う」と記入して返送したり、「訴訟を無視して何も対応しない」場合は、裁判所はこの債権を認める判決や決定を出すことになります。その場合は、時効はそこから10年間ということになり、その間は預金口座や給料、場合によっては不動産の差押を受ける可能性が出てまいります。

そのようなことがありますので、とにかく債権回収会社や貸金業者からなどから請求がありましたら、業者に連絡する前に、まずは当事務所にご相談ください。特に裁判所から通知文書が届いた場合は、裁判所に連絡する前に至急ご相談ください。

もちろん相談だけの場合は無料です。

実際に、時効の主張をするだけで終わったはずのものが、数十万円払った、という例が今年に入って当事務所だけで数件聞きました。お早目のご相談が、あなたを守ることになります。

佐世保・佐々・平戸・松浦・西海など長崎で債務整理のご相談がございましたら、お気軽にご連絡ください。お待ちしております。

2015.5.9
深江司法書士事務所(佐世保・深江司法書士事務所) 司法書士 深江政弘

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